徒然なるままに

読んだ本について、あーでもないこーでもないと勝手に考えるブログです。

子どもと読むということワークショップ 2日間

2日間、9時30分〜16:30まで、課題本(テラビシアにかける橋 キャサリン・パターソン作)をひたすら読み、ひたすら語ると言うことをやってきました。岩瀬直樹先生がデザインしたブッククラブの体験会。
 
まず、『テラビシアにかける橋』について
言わずと知れた名作です。数年前に、一度読んでいて、いたく感動した記憶はあったが、その時は主人公が死と向き合い、立ち直っていく部分がハイライトで、正直他の部分はあんまり・・・な感じでした。
再読してみると、後半のハイライトよりも前半の主人公・ジェシーの心情が揺れ動く様がとても複雑で、語ることがいっぱい。なんで、以前読んだ時には、全く気づけなかったんだろう、と恥ずかしくなるくらい、見落としていたものがたくさんありました。土台にあるであろうテーマも、それこそ友情、恋愛、家族愛・・・読者によってたくさん読み解くことができる感じ。今回の再読で、一番感じたテーマは、家族への愛。ジェシーは、自分に対する家族の愛が見えていなかったけど、親友の死によって、初めてそれが見えていく過程が、何よりも一番綺麗な部分でした。前半では、ジェシーにつっけんどんな父親やくたびれた母親、嫌味な姉妹が、本当は、我が子・兄弟をここまで愛していた、と言うのがひしひしと伝わってきました。いつか、自分の娘とこの本でブッククラブをしてみたい。子どもが読むと、ジェシーの再生の過程にきっと惹きつけられると思います。ここまで、一つの文学作品を味わい尽くした体験は、とても得難い体験でした。
 
②2日間通して、考えたこと、感じたことは?どんな学びや気づきがあったのか?
 今回の研修のような構成的なブッククラブをしたことはないので、まずはやってみたいと思った。「読んだことから意味を作り出すなんざ、読者の自由だろうが!」と言う、なんとも乱暴な読者反応論に染まっていた時代の私は、超・絶・非構成的なブッククラブを年間で3〜4回やり続けていた時期がある。その時は、予読はするが、結果として今回の研修みたいに作品を味わう所までは勿論行けてなかったなぁ。ま、それはそれで意味があったとは思うけど。けれど、今の考えでいくと、日々のRWで、読むスタミナを培ったり、多読でしか身につけられないのようなものを、いわゆる知識・技能だとするならば、ブッククラブが思考・判断・表現になるだろうな、と言う感じ。
 章ごとに、こちらで質問を立て、足場をかけていくことの大切さ。自分はそこまで文学作品を読み込める人間ではないので、やっぱりガイドがあると読みやすいし、話しやすい(そんなことは当たり前だけど)。そこら辺は、デザインする先生によって、きっと考え方は違ってくるだろうな、とも思う。何を目的に、ブッククラブをやるのか。当たり前のことだけど、そこがブレたらやってもあんま意味ないだろーなーと思います。
 
③この2日間はこれからにどんなふうにつながっていきそうか?
 今回の濃いブッククラブを通して、作品に対する自分の読みが矯正・深化した感があるので、この実感を持ってブッククラブをデザインしたり、カンファランスできたりできそう。少なくとも『テラビシアにかける橋』を使ったブッククラブは、今の自分にとって十分満足できるコンテンツとして提供できる自信に繋がった。あとは、教材研究。読み続けて、自分の中のストックを増やさないとダメですね。 
④読書ノート(+振り返りノート)は、学びにどんな機能がありそうか?
 最早、今の勤務校だと古典的な扱いだが、紙に書いて表現するってやっぱり大事だなと思った。自分の思考が整理されるし、書いていると自然と言葉が次々出てくる感覚があった。今年度、読書に関することは全部PCで完結できるシステムにしてしまったけど、この読んだことが積み重なっていく感って結構大事だなと思った。読んだことを文章に生成するのはPCでもできるけど、なんでも自由に表現できるのは、やっぱり紙の強みだと思う。