第187回LAFT 中動態 國分功一郎さんを呼んでのワークショップ
失われた態:中動態について半年間、もやもやしていた事がはっきりした半日でした。
意思・主体性・自発性・能動性
これらがそもそも本当に存在するのか。責任の所属を問うために生まれた、虚構の概念なのでは無いのか
そんなセンセーショナルな哲学でした。
本を読んでも、本当に難しくて難解でしたが、自分のために要約すると
・受動態はそもそも、中動態から生まれた一様相
・その考え方の中で、遥か昔、物事は語られていた。なぜ、我々がその考え方に結び付けないのかは、我々が能動態と受動態の対立の考え方に浸っているからである
・最も大切なことは、能動態と中動態の対立の関係をよく考える事
・対立するものが変わるので、能動態の考え方も変わる
→主語の外で動作が完結する=能動態、主語の内側で動作が完結する=中動態
・責任が生まれたから意思が生まれた。意思とは、ある行為の出発点。何物にも先行されていない=純粋なスタート地点、純粋な自発性。そんなものが、人間の心に存在するのか。全く過去にとらわれず、周りに影響されないゼロの出発点。人の心には文脈が存在している。
・しかし意思がないと責任が問えない。おしつけが起きる=能動と受動の考え方
・責任とは何か。責任とは応答のこと。応答するとは、中動態的なこと。
・責任とは応答しようとすること
・環境を整える事が、主体性につながる。
つまり、
「先生に褒められるかも」「これ、楽しいな」「あれやりたい」「テストにこれ出るから・・」などの外発的・内発的問わず、結果として「ついやっちゃった」行為、それらが全て中動態(この世界でいう、いわゆる主体性)であり、これからの教員に問われるのは、ついやっちゃったの環境をどれくらい整えてあげられるのか、選択肢を用意していけるのか、問われているのではないか。「させる」ではなく。
ワークショップ(型)授業では、人との関わり、教材との関わり、それらの中からふつふつと湧いてくるもの。それらすべてが主体なのではないのか。
中動態って、ものすごく大きな眼鏡なのではないか。そこにはこちらの世界観で言う主体的もないし、強制もない。
乱暴な言い方をすれば、環境を整えた結果(人・物・空間)やりだしたら、それがすべて「主体的」。私たちは、「自分からやろうとしているのか」の物語に、ものすごくきれいな物を見出しすぎている。もっと子供を大きな観点で見てあげられないのかとも思う。
本人がのびのびと自由を感じながら行為をしているのか、そうではないのかは見極めるべき。
そうなると、主体的に学びに向かう姿勢って、評価もできないし、評価をするとなると、全員Aになってしまう。うーん。難しい。
でも、中動態の哲学で子供を見ると、きっとその世界は幸せになるだろうなとも思う。
行為は全て前後があり、意思の介入なんて存在せず、心の文脈に沿ってその行為が発現する
起きている事象には全てストーリーがあって、そのストーリーをどれだけ解釈する事ができるのか。
教師の在り方を問い直せた研修でした。
第176回LAFT 井本陽久さんを呼んでのワークショップ
できるようにさせたい
できるようにしないといけない
何か身につけさせたい
何か身につけさせなきゃいけない
ほんとにそうなんでしょうか。それは子供が望んでることなんでしょうか?ってことをしつこく問われているよーな気がするワークショップでした。
子供は期待に応えようとするけど、それは、ありのままの自分を自分自身で否定していることに他ならない。子供の本当の生き生きした顔ってどんな顔なんでしょうか。自分の授業では、生き生きした笑顔で子供は学んでいるのだろうか。失敗を繰り返して、面白がりながら自分のやり方考え方で試行錯誤を繰り返して、たくましく成長しているのだろうか。
私たちは、その色眼鏡で子供を見ちゃいますが、井本さんは全然そんなメガネをかけて子供を見ない。本当に、今、そこで起きてる子供のプロセスをただ楽しんだり慈しんだりする。子供の文脈を子供の視点できちんと理解しようとする姿勢に、ただただすごいなぁ〜と思いました。
案外人は自分ができることを把握していない
できるできないではない
一人一人が発揮している力を見取り、それを共有していくことが学び
できるできないを問題にするのではなく、興味関心にこそこだわるべき
自分の教師としての在り方を問われる言葉がたくさんありました。これからも自分の力で、できることを試行錯誤していきたいと勇気をもらえる研修でした。
虚空の旅人 上橋菜穂子 作
守り人シリーズの4作目です。精霊の守り人となった、シリーズでの準主人公のチャグム皇太子が主人公になった外伝作品です。
あらすじとしては、新王の即位式に出席するためにサンガル王国に出向くチャグムが、サンガル王国を巡る陰謀に巻き込まれていくお話です。思った以上に、シビアな感じで外交について描かれます。なんだかよくある、実はちゃんとお前達のことを心の底から信用していたんだぜ的な感じで、国と国とが仲良くなるシーンが描かれることはなく、極めて打算的に外交が描かれています。でも、そこが妙にリアルで面白かったです。
サンガル王国の王子・タルサンと主人公のチャグムは、共に作品内でも高潔な人物ですが対比して描かれます。王子としての人の命の捉え方や誇り、武力への考え方、出自、受けてきた帝王学・・・2人の王子としての危うさと素晴らしさに読んでいて心惹かれました。
最後の方に、未遂には終わりますがこれまでの協力者や生贄をサンガル王国の王族が始末しようとするシーンがありますが、そこは少しやりすぎじゃないの〜とは、読者として読んでいて思いました。でも、逆にそこまで描き切る作者の緻密さに脱帽です。
面白さ星10で星
夢の守り人 上橋菜穂子 作
守り人シリーズの3巻目です。1巻目に出てきた登場人物達が、総出演です。
あらすじは、人の心の「夢」を糧にする異界の花(ファンタジーすぎて設定を理解するのにちょっと酔った)に囚われてしまった人々を、どうやって救うのかを軸にして進んでいきます。主人公のバルサの戦闘シーンはあまりなく、どちらかというと呪術師のタンダが主人公です。そして、タンダを巡るちょっとしたロマンスが展開されます。まぁ、大切な人が木津つくのは誰も見たくないし、したくもないですよねそりゃ。
「花」に囚われた人たちは、自分がみたい・見ていたい夢の世界で死ぬまで過ごすことになります。でも、それに打ち勝つには、自分の意志の力が不可欠になります。そこら辺がこの本のテーマなのかな、とも思いました。
花に囚われてしまった人々を前にして放つ、タンダの
『ここにいるのは自分を不幸だと思っている人たちだ。その不幸にはきっと2通りある。一つは、不死の病にかかっているとか、取り返しのつかないことをしてしまった、とかいうような行き止まりに来ている人たち。もう一つは、別の人生もあるはずなのに、なぜ自分はこんなに不幸なのかと、運命を呪っている人たち』
世界の見え方は、自分がかけているメガネで決まる。幸か不幸かを決めるのは、周囲ではなく常に自分自身であって、そんな当たり前の日々を生きていけることこそ、本当の強さなのだと上橋さんは考えているのかな?とも感じました。
展開はどきどきするし、やっぱりこの世界観の壮大さは読んでいて楽しいです。
面白さ星10で星
夢の守り人 (偕成社ワンダーランド) | 上橋 菜穂子, 二木 真希子 |本 | 通販 | Amazon
闇の守り人 上橋菜穂子 作
守り人シリーズの2作目。3日間で読了。
前作から舞台を主人公・バルサの故郷、カンバル王国に移し、物語は進行していきます。相変わらず、カンバル王国や地下世界の情景描写が素敵です。自然とそのシーンを思い浮かべてしまうくらい、綺麗な書き方です。
物語の主軸は、過酷な運命に振り回されてきたバルサの再生の物語です。自分ではどうすることもできなかった過去に向き合い、これからの生きる意味を見出していく過程が胸熱の展開でした。でも、きっと小学生には、そんなバルサの生き様や選択に心及ぶことはないかのかなぁ。小学生には冒険活劇として、とても面白い読み物だと思います。
ヴィランのジグロがもっと、悪役としてもっと際立っていたら、最高でした。あと、ルイシャ贈りの儀式の相手は、物語の中盤で「きっと、そうだろうなぁ・・・」と思っていたら、案の定のそれでした。でも、そこを世界観と結びつける自然な設定が、またこの守り人シリーズの壮大さの魅力かなぁとも思います。
3作目の『夢の守り人』も楽しく読めようです。
本の面白さ星10で星9
精霊の守り人 上橋菜穂子 作
「守り人」シリーズの1作目です。4日間で読了。
古代アジアをモデルにしたハイファンタジーです。一応児童文学ですが、とても世界観が作り込まれています。小学校高学年の子には、皇太子をどう救うかという展開にワクワクしながら読むことができるでしょう。ただ、謀や純愛、バルサやタンダの生き様みたいなものは、ちょっと難しいのでそこら辺がわかるのは中高生からでしょうか。
とても作り込まれている反面、文体は丁寧で読みやすく描写もリアルです。狩人やラルンガとの戦闘描写は、よくここまで書けるなーってくらい見事でした。リアルなんですが、『ダレン・シャン』みたいなグロさはありません。
いやー、しかし、もっと純粋な冒険譚を想像していたのですが、予想に反して大人の純愛が描かれていたことにびっくりしました。タンダのバルサを想う一途さに、脱帽です。
https://www.amazon.co.jp/精霊の守り人-偕成社ワンダーランド-上橋-菜穂子/dp/4035401501
天と地の守り人 第一部 上橋菜穂子 作
ずっっっっっと読んでみよう読んでみようと思っていた、守り人シリーズの本。教室には10年以上、安置されていましたが読破したことはありませんでした。4日間300分で読了。
まず、本当に児童文学なのか?と疑問に思うくらい、物語が重厚です。軍事、外交、主人公(バルサとチャグム)の生き様・・・前半部のバルサが旅立ちを決意する後ぐらいから、登場する国の複雑な国際関係や登場人物の多さに、結構ワケワカメです。理解が追いつかない。理解が追いつかないから、理解しようと読み返すけど、よく分からない。うーん、っていうかバルサとチャグムの関係ってなんなの?ってところとか、昔なんかあったの?とか、突然知らない登場人物が出てくるわなんやで、文章は読みやすいのに、話の大事な流れが分からない。もどかしい!うーん、みたいな感じがずっと続きました。
旅は当然続くわけですが、読み終わった後でこれ絶対、1巻じゃないでしょ・・・と思い調べてみると、最終巻の1巻目という罠。そりゃ、分からないわけですよ。
シリーズものは途中から読んでもいけるものもあるけど、守り人シリーズは、完全にダメでした。再読すると、感想がだいぶ変わると思うので、もう一度、シリーズの本を読んでから再読したいと思います。世界観は、とっても綺麗で見事なハイファンタジーでした。