徒然なるままに

読んだ本について、あーでもないこーでもないと勝手に考えるブログです。

夢の守り人 上橋菜穂子 作

 守り人シリーズの3巻目です。1巻目に出てきた登場人物達が、総出演です。

 あらすじは、人の心の「夢」を糧にする異界の花(ファンタジーすぎて設定を理解するのにちょっと酔った)に囚われてしまった人々を、どうやって救うのかを軸にして進んでいきます。主人公のバルサの戦闘シーンはあまりなく、どちらかというと呪術師のタンダが主人公です。そして、タンダを巡るちょっとしたロマンスが展開されます。まぁ、大切な人が木津つくのは誰も見たくないし、したくもないですよねそりゃ。

 「花」に囚われた人たちは、自分がみたい・見ていたい夢の世界で死ぬまで過ごすことになります。でも、それに打ち勝つには、自分の意志の力が不可欠になります。そこら辺がこの本のテーマなのかな、とも思いました。

花に囚われてしまった人々を前にして放つ、タンダの

『ここにいるのは自分を不幸だと思っている人たちだ。その不幸にはきっと2通りある。一つは、不死の病にかかっているとか、取り返しのつかないことをしてしまった、とかいうような行き止まりに来ている人たち。もう一つは、別の人生もあるはずなのに、なぜ自分はこんなに不幸なのかと、運命を呪っている人たち』

世界の見え方は、自分がかけているメガネで決まる。幸か不幸かを決めるのは、周囲ではなく常に自分自身であって、そんな当たり前の日々を生きていけることこそ、本当の強さなのだと上橋さんは考えているのかな?とも感じました。

展開はどきどきするし、やっぱりこの世界観の壮大さは読んでいて楽しいです。

面白さ星10で星

 

夢の守り人 (偕成社ワンダーランド) | 上橋 菜穂子, 二木 真希子 |本 | 通販 | Amazon