こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ 岡田淳 作
こそあどの森シリーズの番外編です。80分読了。
こそあどの森の登場人物たちが、子どもだった時の思い出話が短編集という形で収録されています。読みやすさは、抜群。どれもいい話だなぁ〜としみじみしちゃう感じです。岡田淳さんの『ふしぎの時間割』のような感じでしょうか。このシリーズを読んでいた方が楽しめますが、それぞれの話がシリーズからは独立しているので読んでいなくても、楽しめる構成になっています。
『子どものころのことって、おとなになっても、つながっているんだね』という最後の文が、そのまんまこの本の言わんとしていることだと思います。だからこそ、子供時代の体験って大切ですよね。どんな人に出会うか、どんなものに出くわすか、どんな困難にぶち当たるのか、どんな本と出会うのか。これからも、担任する子供たちには、ステキな本と出会ってほしいなぁ〜。そんなことを考えながら、しみじみ読み耽ることができました。
面白さ星10で星8
ぼくらの七日間戦争 宗田理 作
不朽の名作。4日間240分で読了。この本は教室にずっと置いてありましたが、これまで全く読む気がしませんでした(文字も小さいし、400ページ近くも読む気が起きない)。でも、高学年を担当すると毎回、必ずと言っていいくらい子供達(特に男子)から圧倒的な支持があった本でもあります。
作品の舞台背景に全共闘があります。しかし、私は学生運動の知識に乏しく、読んでいてもそこら辺は、正直珍紛漢紛でした。
高学年くらいの思春期を迎えたくらいの子供たちには、内容的にはスカッとするんでしょうか。大人が読むと、モラハラ・パワハラ・セクハラ・体罰のオンパレードです。いやー、それないっしょ笑 みたいな無粋なツッコミはダメだとわかっていても、それをせずにはいられなくなります。
舞台の学校は、ちょうどまさに、スクールウォーズです。
「俺は、今からお前たちを、殴る!!歯ぁ食いしばれーーー!!」みたいな感じです。昔は、そんな生徒指導をしていたんですね〜と読んでて可笑しくなります。
『みんなうまくいかんのは、子供を人間だと思ってるからだ。奴らは動物だと思えばいいんだ。犬や馬を調教するように、鞭で仕込めば必ずうまくいく。これが秘伝だ。君たちもよく頭に入れておきたまえ』
と校長先生が言っちゃうシーンに思わず時代を感じてしまうこと間違いなしです。
『これは、大人優先の発想です。身勝手とは思いませんか?我々は、一度だって、子供の目で世界を見たことがあったでしょうか?子供は、大人の囚人ではないのです』
この最後の方のシーンに、この本の伝えたいことが詰まっている感じでした。この言葉は、今も大切にしたいものです。
総じて、子供は笑いながら楽しく読める、大人も笑いながら楽しく読める良本でした。
面白さ星10で星8
国語を楽しくープロジェクト・本作・同時異学習の進めー 首藤久義 作
職場の人と交換した本の中から選書。現在の連綿と続く国語教育に疑問を持っている人向けの本でした。
全体的に、具体的なメソッドがいくつか記されていますが、その根拠となる理論とかエビデンスはあんまり出てこないです。国語の授業で同時異学習(ワークショップ)をする、というよりも国語の教科書を使った授業の中で、それを行うためには?という文脈で、色々な実践が書かれています。
「翻作」については、とても詳しく記されていました。「翻作」については、ライティング・ワークショップをやっていると、自然とそれをする児童がたくさん出てくるので、こちらの知識として持っておくといいな、という内容がいくつかありました。本書の中でも、ライティング・ワークショップについては、簡単に触れられていました。
国語の授業を変えたい、と思っている人に向けての入門書という感じです。
https://www.amazon.co.jp/国語を楽しく~プロジェクト・翻作・同時異学習のすすめ-首藤-久義/dp/4491051410
こそあどの森の物語 水の精とふしぎなカヌー
こそあどの森の物語シリーズの第11巻です。70分で読了。
同じ時間軸で展開される話が、2話収録されています。物語の結末が対比されている構造で、前半部は超自然的なものが展開に絡み、後半部はそのまま雄大な自然の力が展開の根幹にあります。けど、そこから何か登場人物たちが葛藤する場面は皆無とまでは言わないけれど、あんまりありません。ひたすら、おー!とか、あー!とかいって自然や超自然的なものに感動・驚愕する場面が結構ひたすら続く感じです。
とても読みやすく、ここまでこそあどの森シリーズの本を読んできた人にとってはこの世界観を楽しむことができるかな。トワイエさんの家ができる過程とかの、ファンを楽しませるエピソードが結構多い印象です。ですが、この巻からでも、全然読み始められるように、自然な感じで色々な補足説明が挿入されているので、丁寧なつくりだなぁと思います。
面白さ星10で星7
ホームレス中学生(児童書版) 田村裕 作
お笑いコンビ・麒麟の田村さんの自叙伝。90分で読了。
これを読むと、壮絶な子供時代を過ごしたんだなぁ、と思う。家族がいきなり「はい!解散!」になった時、自分ならどうするだろう・・・
前半は、家族が突然解散になり、中学2年生での浮浪生活とそこからの脱却の経緯が書かれていて、後半は、作者の家族に対する思いが温かく書かれています。お父さんを恨まない、むしろ、今こそ力になりたい、と思える作者の気持ちにただただ脱帽です。
内容自体は、総ルビで3年生でも読めそうです。若干難しい言葉もありますが、信じられないほど丁寧に言葉の意味の注釈までそれぞれのページに載っています。そして、何より文体自体もユーモアが結構あって、サラサラ読めちゃいます。
ノンフィクションの入門として、とてもいい本でした。
面白さ星10で星8
わすれものの森 岡田淳 作
岡田淳さんのデビュー作です。一度は絶版になったものを、加筆修正して再出版したものです。絵本から図書への橋渡しとして選書。40分読了。
2年生でも読める内容です。かといって、厚過ぎず、内容も読み応えがそこそこあり、ちょうど良いチャレンジ本として提示できる本になりそうです。
主人公は3年生のつとむ。音楽会を前にして、ドッジボールに夢中になり(男子あるある)、リコーダーを朝礼台に忘れ、結果として音楽の授業が来るまで、置きっ放しにしていたことを忘れてしまうとこから、物語がスタートします。
思い出して、朝礼台に取りに行ったのに、もうそこにはリコーダーがなく、どうやら忘れ物が集められる不思議な世界に持ってかれてしまい・・・みたいな感じです。自分のものは大切にしようね、忘れられた物は、忘れた人を忘れないよ とめっちゃ訴えてきます。
岡田さんの作品は、最後にいつも、おぉ!となる展開がありますが、この本も、最後には、あ〜だよね〜、とうまくオチを付けてくれます。やっぱり面白いよ、岡田淳さんの本は。
岡田淳の世界観に浸る、入門編の本として、読む価値ありです。
面白さ星10で星7
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