徒然なるままに

読んだ本について、あーでもないこーでもないと勝手に考えるブログです。

バンピー いとうみく 作

 有名どころの作家さんを読み込もうと思い、選書。100分で読了。

 登場人物の設定が、開始早々ぶっ飛んでいます。主人公は、高校2年生の男の子・成。小学生の妹が3人。父親は、突然蒸発。母親は、他界。近所に住む叔母・小春が時々家事の手伝いにくる。そんな暮らしの中、突然、蒸発した父親の不倫相手(後半で違うとわかるが)の異母兄弟の妹・蛍が「私はあんたの妹」と言って突然一緒に暮らすハメになって・・・という、何ともすごいシーンからスタートします。

 壮絶なヤングケアラーであるはずの成が、悲壮感を一切感じさせず、逞しく生きていく姿にはちょっぴり違和感。でも、本当は、蛍の再生がこの本のテーマの話だと思います。

 蛍も、母親の逮捕、本当の父親との死別などなかなかすごい生い立ちを持っていましたが、そんな彼女が、叔母の小春や成との共同生活を通して、これからの自分が生きていく意味を見出していく過程が、とても心打たれました。

 父親が蒸発した理由も、後半に明らかになりますが、その選択はしてはいけなかったと思います。そしてそれを受け入れちゃう成もだめだと思いました。現実は、絶対そうならねーよ!とツッコミを入れたくなる感じでした。

 最後は、それぞれのわだかまりも解け、これからの生活が好転していく終わり方なのが救いでした。それぞれの生き方に幸があって欲しいと願うばかりです。

 小学生には、無理かなー。6年生でも読めるかなって感じです。語るなら完全に中高生向きの内容でした。

面白さ星10で星9

https://www.amazon.co.jp/バンピー-いとうみく/dp/4863897278